"白は差さない"

"白は差さない"

歌舞伎の背景画をたくさん拝見させてもらっている中でふと思う。

特に”日本”って感じのテーマの絵じゃないのに、

歌舞伎の背景画っぽいなぁと思うのはなんでだろうか?

 

作画の監修を行っている大塚さんに伺ってみた。

「 独特な色使いやぼかしの加減なんかもあるんだけど、

 大きな特徴としては歌舞伎の背景画は、

 ”白は差さない” んですよねぇ 」

 

白を差す?

現代美術などは、光の当たる場所は明るい色を入れ、

影となる部分には暗い部分を入れる。

なんだか当然のような気もするが、

歌舞伎の背景がでは、ほとんどの場合

影を入れることがあっても光当たる部分に明るい色(白)を差すことはない、

明るい色が描かれていたら、それはその物の固有色だ という。

 

たしかに言われて見てみると、

暗くなっている影はあってもハイライトを描いている描写がない。

それでこの独特な風合いというか雰囲気があるわけだ。

 

妙に合点がいったお話を伺えた日だった。

 

 

 

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